穴掘り
年長の男の子が額から汗を流して職員室にやってきて
「あな、うめなくてもいいですか」
・・「ん?あな??」
一緒に来た担任も
「大きい穴掘ったんですよ。すごく深いんです。とっておいていいですか」
担任も埋めたくないと思っている様子が伝わってきます。
穴は掘ったままにしておくと、子どもたちが足を取られて転んでしまうから、普段は掘った後は埋めておくようにしているのですが、でも、子どもたちも担任もその大きな穴を埋めたくないと思うほど“想い”がこもっているのだと思うと、その“大きくて深い穴”を見てみなくてはと思って外へ行きました
こっち、こっち、と案内されたとことは・・・・
「あ!そこだったの・・・・」
という言葉が思わず先に出てしまいました
その穴は、前日誰かが掘っていた穴で、そこをさらに深く大きくしたものでした
穴は本当に深くなっていて、子どもたちが力を合わせて掘り進んだであろうことがよくわかりました。
ほんとは「そのままとっておいていいよ」と言いたかったのですが・・・
数時間前に植木の専門家でもある用務のおじさんが、その穴(まだ小さかった状態)を見て、
「松が枯れるから穴を埋めておいてくださいね」
と言っていたのです・・・・
確かに穴は松の木の根元で、とても心苦しかったのですが、
「松の木がね、枯れてしまうんだって。だから埋めてほしいんだ」
と言いました
すると子どもたちは
「しょうがない、うめるか~」「お~、うめようぜ」「よ~し!」
と口々に言いながら、快く穴埋めを始めてくれました
年長になるとこんなによくわかってくれるのだ、と感激しながらその言葉を聞いていました
この穴を埋めながら、「砂が足りない・・・」「うん、足りないね~・・・」と子どもたちと担任の声が聞こえました
そうなんですよね、穴を掘ったところを埋めてみると、必ず砂が足りなくなるのです
どこへ消えるのでしょうね。不思議です