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2010年1月

2010年1月19日 (火)

青陵短歌会の歩み

短期大学部人間総合学科の土永典明です。

 休業中であった本学の「青陵短歌会」を私が引き継ぐことになったのは、去る2007年11月29日、作歌指導に関する公開授業を行った際、この授業を参観された本学園の関理事長より、学生の情操と国語力強化に短歌は極めて有効とのお言葉をいただいたことに始まります。

 私はまず第一に、本学学生を指導して「青陵短歌会」に息を吹き込みました。ネット上(ブログ・システム)での運営は新潟青陵大学の中野充先生に協力していただき、本学の学生に投稿を呼びかけ、短歌をつくる喜びを味わってもらいました。ブログシステムなので全国からの短歌のコメントもいただき、学生は短歌を詠む上で励みにもなっています。一般の投稿者も増え、札幌や愛知、広島、奈良、京都、滋賀などからも投稿があります。

 第二に、青空祭の趣味の作品展に短歌を出展したり、「NHK介護百人一首」に入選することを目標に掲げ活動の場を広げてきました。 短歌は、自分が体験した事象を偽り飾りつけることなく、心に感じたままに詠みます。そこで、日頃の狭い範囲での事柄に注意を払い、日常生活を凝視してみます。そうすることで、自然にさりげなく日常を切り取った美しい響きをもった歌になります。短歌を詠むときには、出来の良し悪しをあまり気にせず、感動や自分の気持ちを素直に詠むように心がけます。多くの歌を詠むことで、自然に表現力が身につき、上達していきます。さらに、詠んだ歌をしばらく経った頃に見直して詠み直してみると、新たな発見も多く、表現力の向上が図れます。

 そこで、私は、担当科目「コミュニケーション技術」や「介護過程Ⅰ」の中で情操教育と国語力強化を目的として、言語活動を取り入れた作歌指導を行っています。  短歌というものは、点数では計れない「感性」という領域で、自分の素直さ、豊かさを31文字(みそひともじ)で表現します。短歌を詠むことで言語表現の基礎を作り、表現の楽しさを体感することができます。つまり、短歌を詠むことは思考力を伸ばし言語感覚を磨くことと、言語文化に対する関心を深めることができるのです。

  「大丈夫?」その一言でホッとする地震の後の友の声 【今井裕加】

 この歌は本学学生が、2007年7月16日に起こった新潟中越沖地震での友を気遣ったことを詠んだ歌です。この歌は、リアルタイムでの出来事を題材にしていますが、地震を体験した友を受け止め、感情に共感しています。対人援助の基本は、このように心の分かち合いができる関係をつくることから始まります。そして援助者は、援助を必要としている人を受容し、その問題と感情に共感し、その人自身が自分を表現できるように引き出す役割を有しています。

 私は、学生の作歌指導にあたって、リズム(五、七、五、七、七)にあってないところや、全体にイメージが容易でないところについて、例を挙げ簡単な推敲をしています。  故郷を詠った作品や介護をみつめた作品はその人にしか表現できない世界なので、実習体験や生活をみつめた内容が中心になっています。短歌は情感を詠むといわれるので、自分がその場面でどう感じたかを問いかけてみることが大事です。そうすることで、自分の気持ちというものに気づいていきます。いま生活している人の感情を、いま使っている言葉で、どうやって短歌にするか、ということは自分を大切にするということです。その生命の賛歌が短歌ということです。  

 学生が詠った短歌は、日常生活を精一杯生きる自分自身の姿を通して、生きているということを考えるというところから、その考えを発展させてきました。
 また、介護については、介護福祉士としての姿勢や態度、専門職としての自己の介護観を深めたと考えられます。作歌指導の後の学生の感想には、利用者の多様な生き方や価値観を受け止めるような人間性などについての記述が多く見られました。
 現在リアルタイムで学生生活を送っている者同士の共感できるものもあるようです。同窓生の短歌を紹介することで、短歌になじみがなかった学生たちは、少し短歌を身近に感じ取ったようです。普段なかなか本音を語ってくれない学生は、31文字の中で思いの丈を述べます。これらの作品からは、学生の感性の鋭さを感じさせます。
 感動の一瞬を逃さず捉える「チャンス」と「こういう視点は面白いな」という「アングル」さえあれば見るものを感動させる作品ができあがります。そのためには、毎日の心の中に浮かんだことがあれば、断片でよいから手帳などに記しておくとよいでしょう。そして、あとでそれをふくらまし、前後の場面をととのえてまとめてゆきます。

 私は学生たちに短歌を詠むことで、価値観や人間としての生き方に出会い、自己成長へつながることを願っています。
 「NHK介護百人一首」や新聞、雑誌などに掲載されることを目標に、さらに良い歌が作れるように表現力を磨いていきたいと思っております。

<NHK「介護百人一首」入選作品>
2009年
 声帯を無くした祖父と会話する私が介護を選んだ理由 【増井美佳

 「看護師さん」そばを通るといつも呼ぶあなたの前だけ看護師です小柳知栄美

2010年
 嫌いだと面と向かって言われたがその一言がやる気を出させた 【小林舞衣

 紙風船いい音鳴らし叩き合う幼き頃の姿に戻り 【希弥

<2009年青空祭・趣味の作品展学長賞>
 「いいんだよ頑張ってるから」そう言われ何故か止まらぬ私の涙【三膳春香

その他の作品は「青陵短歌会」ホームページに公開しています。ぜひご覧ください。

2010年1月18日 (月)

基礎看護学実習Ⅰが終わりました

みなさんこんにちは。
新潟青陵大学看護学科教員の菅原真優美です。

昨年の話になりますが、1年生の基礎看護学実習Ⅰhospitalが終わりました。
学生は市内3カ所の病院(済生会新潟第2病院、県立がんセンター新潟病院、新潟市民病院)にわかれて実習します。
どのような実習をするかというと・・

1日目…
 病院、看護部のオリエンテーション
 病院、病棟の構造、設備の見学
 看護師さんに同行させていただき業務を見学

2日目・3日目…
 看護師さんに1日密着させていただき業務を見学
 患者さんとお話をさせていただき、病院や入院生活に対する思いを知る

4日目…
 実習グループごとに実習のまとめを発表する「発表会」。
 全部で10グループの発表を聞き、お互いの実習成果を学びあいます。

5日目…
 実習で学んだことを、実習目標に沿ってレポートpencilを作成!

と、とても密度の濃い実習です。
初めての実習で緊張することも多く、それだけでヘトヘトになってしまう学生もいます。
看護師さん、患者さんなど自分が接する人はすべて年上だから無理もありません。

しかし、学生が書いたレポートbookを読むと「初めてだからこそ感じる新鮮な感動diamond」は、なかなかのものですshine
私自身、毎年「あ~私もそう思っていたはずなのに、忘れていたかもしれない」
と初心を思い返すきっかけにもなります。

どうかこれからずっと初心を忘れないで勉強を続けて欲しいなぁconfidentと思います。
さぁ、次の基礎看護学実習Ⅱは今年の夏。
あっという間にその日はやってくるので、事前の準備をしっかりして充実した実習にしましょうgood